施設案内

医療機関・トレーニング&リカバリー施設・研究機関が融合した充実した施設によって、スポーツでの傷害からの競技復帰やパフォーマンス向上に必要なサポートを一括かつ一貫して提供することを可能にしています。 医療機関としては超音波(エコー)診断機器、単純X線、MRIなどの画像診断機器を備えており、適切な診断を下すことが可能です。また、スポーツ傷害の急性期治療に有効な高気圧酸素治療を8人同時に実施できる機器をスポーツ傷害専門クリニックとしては国内で唯一設置しています。 トレーニング施設には筋力・持久力などを強化するために必要な機器があり、リカバリー施設として食堂、プールや各種物理療法機器を備えています。研究機関として、バイオメカニクスを活用した動作分析、運動生理学を活用した持久力の測定などを専門的に測定できる機器と設備を備えています。

1F施設案内

スポーツ医科学クリニック

スポーツ医科学クリニックは、スポーツ傷害の診療に特化した施設で、臨床の第一線で活躍するスポーツドクター陣とメディカルスタッフが連携し、スポーツ傷害やスポーツ関連疾患への迅速かつ適切な対応と最先端の医療提供を実現しています。すべての診察室に超音波(エコー)診断機器を配備しており、レントゲンではわからない靭帯損傷や筋・腱損傷などもその場で診断することが可能です。超音波(エコー)診断機器以外にも単純X線、MRIなどの画像診断機器を備えており、スポーツ傷害に必要な検査をクリニック内で行うことができるほか、難治性の傷害に有効な体外衝撃波治療器および近年スポーツ傷害の急性期治療においてその有効性が注目されている高気圧酸素治療を同時に8人まで行うことができる機器を導入しています。スポーツ傷害の治療専用に多人数型の機器を導入している施設は国内で唯一です。 当クリニック内で対応の難しい傷害・疾患に関しては帝京大学医学部附属病院はもちろんのこと、全国の医療機関と連携し、適切な診療を受ける機会を提供しています。特に帝京大学医学部附属病院内のスポーツ外傷・関節鏡センターと密接な連携にあるため、手術が必要な場合も迅速な対応が可能です。睡眠時無呼吸や不整脈、脳震盪など整形外科以外の疾患や外傷に対しても、循環器専門医や脳神経外科専門医との連携のもと、検診や診療を行っています。 また、診察室だけでの診療にとどまらず、合宿や試合帯同に超音波エコーを携行し、スポーツ現場での診療も行い、スポーツ現場で求められる医療へのニーズに応えられる体制をもっています。 競技復帰に向けた支援が必要な場合は、当センター内のTASK Performanceに属するアスレティックトレーナーと連携し、トレーニングルームなどを使用してアスレティックリハビリテーションを行います。

  • 診察室

    医師により診察をスポーツ障害を診断します。

  • 画像診断

    超音波(エコー)診断装置:単に構造だけではなく、運動時の挙動まで確認できる超音波(エコー)は、整形外科においては、診断・病態の把握から治療までを短時間でこなすことを可能にする「第二の聴診器」と呼ばれ急速な普及が進んでいる診断機器です。当クリニックでは、この分野のフロントランナー笹原医師が院長を務めています。

    X線照射装置(レントゲン):主に骨折・疲労骨折の病態把握に利用します。

    X線透視装置:レントゲンを動画撮影できる装置で、骨折・脱臼の整復や映像を確認しながら関節内などに注射を行う場合に利用します。

    DEXA(dual-energy X-ray absorptiometry)装置:骨密度と体組成を測定できる装置で、骨の健康状態の評価のほかアスリートの体組成の正確な把握に活用します。

    ・ MRI(核磁気共鳴画像)装置:強い磁石と電磁波を使って体内の状態を断面像として描写する装置で、筋や関節内の病変を把握するために活用します。

  • 高気圧酸素治療室

    高気圧酸素治療とは、通常の気圧より高い気圧の環境で高濃度の酸素を吸入し、血中に溶ける酸素(溶解型酸素)量を増加させる事により、自己治癒力を大幅に促進させる治療です。もともと潜水病や一酸化炭素中毒などに対して行われていた治療ですが、スポーツ外傷に対する効果が近年注目されています。 捻挫や打撲等のスポーツ外傷によって受傷し、腫れた組織は低酸素状態になります。高気圧酸素治療により通常の10〜20倍の酸素を血中に溶解させる事で、組織の低酸素状態が改善され、痛みや腫れが早期に軽減します。捻挫や打撲だけでなく、肉離れや骨折に対する効果も報告されています。 当クリニックの高気圧酸素治療室は、スポーツ傷害に特化した多人数同時の高気圧酸素治療を行っている日本唯一の施設です。

  • 体外衝撃波

    低侵襲で安全かつ有効な治療法として欧米ではスポーツ選手中心に治療が行われている機器です。医師により適応疾患と認められている疾患(筋・腱移行部が中心)であれば、治療を行うことができます。

メディカルチェックルーム

メディカルチェックルームには体格や身体組成を測定する機器を設置しています。トリートメントベッドも設置し、関節可動域や徒手的な筋力の測定も行える環境を備えています。 アスリートの身体組成はトレーニングや食事により日々変化するため、その変化を把握することはトレーニング計画や食事計画を行う上で重要です。とくに、除脂肪量や脂肪量の変化はパフォーマンスに影響する要因の1つであり、コンディショニング管理の重要な指標の一つともなります。 メディカルチェックルームでは、「Bod Pod(空気置換法)」と「In Body(生体電気インピーダンス法)」を用いて身体組成を測定することができます。また、スポーツ医科学クリニックのDEXAと合わせて利用することによってより正確な身体組成把握の方法を開発することも目指しています。

  • Bod Pod(空気置換法)身体組成

    Bod Podは、体を体脂肪量と徐脂肪量の2つに分ける2成分モデルの代表的な測定方法です。卵型の装置の中に入り、空気を用いて体積の測定を行う方法で、約3分間、装置の中に入り測定を行います。

  • In Body(生体電気インピーダンス法)

    In Bodyは、広帯域周波数を用いて細胞内水分と細胞外水分を分け測定する方法です。全体の水分や水分均衡を分析し、体水分・脂肪量、除脂肪量などを約60秒で測定します。装置に乗って電力を握るだけなので、痛みや不快感なく測定することができます。

  • 3Dボディスキャナー

    身体そのものの変化をビジュアル化する3Dボディスキャナー。多方向のデータをスキャンし測定データを算出し、作成した3Dモデルを利用してカラダの状態をひと目で認識させることができます。身体の状況を数字だけでなくビジュアルで確認でき、身体組成の数字の変化でだけではなくイメージを見せることで身体のどこが、どう変わったのかをひと目で認識する事が出来ます。

ドーピング検査室

RTPA(検査対象者登録リスト・アスリート)が帝京大学スポーツ医科学センターでの活動中にドーピング検査が実施される可能性もあることを想定し、設置しました。トイレと待合室が並列しており、採尿カップの選定から尿検体の採取、書類作成まで1室で完結することができます。施設利用者などの外部の目を気にすることなく実施することができるため、ストレスの少ない状態で実施することができます。 また、ドーピング検査未体験のアスリートが模擬体験をするための部屋としても使用することができます。模擬体験をすることにより、実際のドーピング検査時にスムーズに対応することができるようにシミュレーションをします。

環境制御室

環境制御室では、①通常気圧で酸素濃度の調節を行い低酸素の環境をつくること、②温度と湿度をコントロールすることにより、高地環境(0~4500m)や暑熱環境でのトレーニングを可能にします。環境制御室内での実施に加え、室外には低酸素が給気できる配管を4本設置し、多くのアスリートが使用できる環境になっています。当室は、常圧環境で酸素濃度のみを低下させるため、トレーニングや実験を安全に実施することができます。低酸素トレーニングは、酸素運搬能力や筋の酸素消費能力の改善をもたらすことを目的とすることに加え、高地トレーニングの前に実施し、高地環境に順応する準備をすることもできます。さらに、低酸素環境は、傷害からの復帰段階にあるアスリートに対し、運動強度を無理に上げることなく、呼吸循環機能に負荷をかけることができます。同室に設置されているAlter-G(体重負荷がコントロール可能なトレッドミル)を同時に使用することより、荷重を調整しながら呼吸循環機能を維持し、競技復帰に向けてトレーニングを行うことができます。また、気温は0℃~45℃、湿度は30%~80%の範囲で環境をコントロールできるため、遠征前の暑熱対策も可能となっています。 環境制御室には走行だけでなく、自転車や車いすも使用できる走路の広いトレッドミルが設置されており、スピードは40km/hまで、傾斜は-27%~+27%の範囲で使用可能のため、幅広いトレーニングを実施することができます。

ウォーターリカバリー室

トレーニングをするだけでなく、練習や試合後の身体のケアをしっかりすることは、翌日のパフォーマンス維持に必要不可欠です。本センターではリカバリーの1つの手法としてウォーターリカバリーを導入しています。大学のスポーツアスリートのための施設としては珍しく、プール、人工炭酸泉、サウナを取り入れ、アスリートの多様な目的に応えられるよう環境を整えました。トレーニング施設と同じ建物にあるので、トレーニング後に効率よく使用することができます。

  • プール

    プールは気候・天候を問わず、10〜15人が広々と使える大きさで、アイスバス・アクアコンディショニングなどの様々な用途に合わせて、温度や水深を0mから2mまで変更可能です。また、リカバリーだけでなく、リハビリの一環としてのトレーニングにも活用できるようになっています。

  • 人工炭酸泉、サウナ

    疲労回復だけでなく自律神経への作用・血流促進など様々な効果が期待される炭酸泉やサウナは、それのみだけでなく、アイスバスと併用することで交代浴として幅広く活用できます。

2F施設案内

トレーニングルーム

トレーニングルームでは単に強く・大きいだけでなく、機能的な身体づくりをすることを目指しています。同時に50名程度が筋力トレーニングをできる広さを備え、いわゆるマシンウエイトの設置は最小限とし、機能的な身体作りに活用しやすいフリーウエイトの機器を充実させています。また、空気圧式のマシンを多数配置し、高重量のトレーニングだけでなく、スピード・パワーを養成することができる環境も整えています。トレーニングだけでなく競技復帰に向けたリハビリにも活用できる有酸素トレーニングの機器も充実しており、時速40kmまで対応可能なものを含むトレッドミル3台のほか、スキーエルゴ、ボートエルゴ、ステップマシンを備え、スポーツ競技特性や傷害部位にあったものを選択できるようにしています。 フリースペースでは、機器を使わないトレーニングのほかに、ジャンプやアジリティ(敏捷性)のトレーニングやランニングなどのスポーツ動作のトレーニング、ストレッチなどのセルフコンディショニングを行うことができます。

治療室

治療室には、渦流浴、ホットパック、アイスパック、電気治療器、超音波、酸素カプセルなどの基本的な物理療法機器を設置しており、コンディショニングや治療を行うことができます。ベッドも最大12台設置するスペースがあり、大人数同時に治療やコンディショニングを行うことができます。 基本的な物理療法機器以外にも、関東に数台しか設置されていないアキュスコープや体外衝撃波といった特殊な物理療法機器も設置してあります。 治療室はトレーニングルームに隣接しているため、トレーニング前後にコンディションを整えることができます。また、診察エリアでの診療後に治療を行うこともできます。

  • アキュスコープ

    人間の神経情報を読み取りそれを微弱電流で修正する機器で、神経系ネットワークの治療として使用します。

食堂

2階食堂は、本センター栄養部門の掲げる「一勝~一生の食サポート」のコンセプトのもと食事提供を行っています。競技特性や個々のコンディション・カラダづくりに応じた栄養摂取ができるよう、定食スタイルをベースとしながらも一部自己選択やビュッフェ形式の食事にも対応しています。また、チームスケジュール(期分けや練習内容)に応じて献立や食事時間の調整をしています。そして、ハードなトレーニングを日々行っているアスリートにとって食事がトレーニングの一部であると同時に楽しみの一つとなるよう、おいしく楽しい食事の提供を心掛け、イベント食の提供も行っています。また、アスリートたちに安心・安全な食事提供を行うため、衛生管理の徹底だけでなく食物アレルギーへの対応もしています。 食堂内にはプロジェクターやモニターが設置されており、栄養情報の提供や、栄養レクチャーなども実施できるようになっています。 一勝(勝利のための食事)と一生(自分でいつでも適切な食事選択ができる)の食サポートを目指し、適切な食事の提供と食教育を目指しています。

3F施設案内

アリーナ

アリーナはバレーボールコート一面分の広さがあり、様々な競技、トレーニングと多目的に使用することを目的に作られています。 将来的に単にトレーニングを行うだけでなく、映像フィードバックができるよう、全方位から動作をカメラで撮影、さらにその映像を壁に設置されている4つのスクリーンに即時に映し出すことができるよう設計されています。そのため、コーチングやトレーニング指導の際、動作をすぐに視覚的にフィードバックすることができ、指導者やアスリートの感覚だけでなく、最新の技術を利用したより質の高い指導の実現が期待されます。さらに地面反力計を床面に設置できるように設計されているため、映像だけでなく動作に加わる力の測定も可能になり、より詳細に分析できるようになります。 また、壁に折りたたみ可能なトランポリンも設置しており、アクロバットな動きが求められる競技のトレーニングなどにも利用することができます。

4F施設案内

MPI Tokyo

MPI(Movement Performance Institute)はアメリカ・ロサンゼルスに拠点を置くUSC(University of Southern California)教授のDr. Powersによって運営されている施設です。MPI Tokyoはアメリカ国外では初の施設となります。 MPIのコンセプトはテクノロジーを用いたバイオメカニクス的分析を利用して動作を評価したうえでトレーニングを実施し、安全な動作を獲得させることで復帰支援や傷害予防を達成することです。 テクノロジーの中核を成すドイツsimi社の機器は、マーカーレスの3次元解析や歩行・ランニング中のリアルタイムでの関節角度測定などを可能にしています。その他にもCybexや筋電計などの測定機器も備えています。 また測定だけではなく、Alter-Gと呼ばれる体重負荷がコントロール可能なトレッドミルや、ウエイトトレーニング用のラックなど、同フロアにてリハビリやトレーニングも行えるようになっています。 本センターには、半年間ロサンゼルスにてオーナーのDr. Powersから直接指導を受けたスタッフが2名在籍し評価・リハビリを行っています。

5F施設案内

室内練習場

室内練習場では簡易的なフリーウエイトスペースに加え、人工芝でのランニング、野球、ゴルフなどのトレーニングも行える広いスペースがあります。この人工芝は重いものを引きずるスレッドトレーニングでも溶けない素材となっており、トレーニングに適した芝を採用しています。高さ4.5mのクライミングウォールや登り綱、高さの異なる雲梯、メディシンボールを当てる壁などの上肢及び全身の身のこなしを総合的にトレーニングできる設備となっており、一般的なトレーニングルームではできないパフォーマンス向上のために必要なトレーニングを行うことができます。 設置している機器としては、最新のゴルフ弾道解析・弾道測定機器があります。通常の弾道ボール分析だけではなく、ボールとのインパクト時におけるフェイス面の向きや打点位置なども含めた、これまでにはできなかった分析を瞬時に行い、アスリートの特徴や問題点を明らかにできます。また、従来のピッチングマシンとは異なり、狙った所に様々な球種で投球できるエアー方式のピッチングマシンもあり、苦手なコースのバッティング練習も効率よくできます。このような機器などを用いたトレーニングやパフォーマンス測定の測定室としても使用できます。 また、人工芝のスペースが広いため、実技の多いセミナー会場としても使用することができます。